防音マンションでオーディオの音響をより良くする方法
防音マンションでオーディオの音響をより良くする方法
防音をうたうマンションは、壁や床が厚かったり内装材に吸音性のある建材が使われていたりしますが、今回はオーディオの音響について考えたいと思います。
音響効果を上げる秘訣は音の反射
室内の音響を良くするために知っておきたいのは、音は、壁や床、天井などに当たると反射する性質を持っているということです。反射した音は、互いに対方向へ進むことによって波がどちらにも進行せず、一定の場所で振動しているように見える「定常波」と呼ばれる波を作ります。定常波は、やまびこに似た性質のものです。山に向かって大きな声を出すと反射して声が跳ね返ってきますが、スピーカーの音も反対側の壁にぶつかったあとスピーカーの方向へと返ります。部屋の場合は狭いため、反射した音がまた向かい側の壁にぶつかって、再びスピーカー側の壁へと反射するというやりとりを繰り返していきます。その結果、音が同じところで振動しつづけ、変化のない定常波を生み出します。このため、部屋のどこにいるかによって聞こえる音に違いができてしまい、音が濁って思うような音響効果を得づらくなるのです。通常、防音マンションでは音が隣室に届かないように造られています。遮音性の高い壁は音を反射しやすいため、基本的には定常波が少なくなるような工夫をする必要があります。
吸音材の賢い使い方
音の反射を抑えるためには、吸音材を使用するのがベストな方法です。ただし、吸音材を壁一面や床一面に敷き詰めなくても問題ありません。むしろ、あまりにも音を吸収する環境を作ってしまうと、逆に音響にとってマイナスとなるデメリットも出てきます。基本的に、吸音材はスピーカーの後ろの壁に設置するだけでも音の聞こえ方が変化します。スピーカーのすぐ後ろに壁がある場合は特に激しく反射し、音が濁ってしまいます。この濁りを軽減させるためには、スピーカー近くの壁に、吸音材を取り付けてみてください。吸音材には、音楽室の壁のように穴があいている板や、分厚いスポンジのようなものなどの専門的な素材もあります。ホームセンターなどで売られている発泡スチロール板や、厚くて柔らかな布でもある程度の効果を得られるでしょう。吸音材としては、表面がデコボコしているほうが効果はあるので、家に代用できそうなものがあれば適宜活用してみてください。吸音材を使うのが難しい場合は、スピーカーをできるだけ壁から離して設置するのも1つの方法です。ただし、部屋の中央にスピーカーを置くと音が拡散してしまい、イマイチな音響になってしまいかねません。壁から離しすぎるのもあまり良いことではないことに注意し、音源の配置には気をつけてください。
部屋の角に吸音材を置く
吸音材を使用する際には、気をつけておきたいことがあります。吸音材は音の反射を抑えることに役立ちますが、あまりにも室内の音を吸収する環境を作ってしまうと、逆に残響が犠牲となってしまいます。残響がないと音楽は味気のないものになってしまうでしょう。部屋を吸音材だらけにするのではなく、適切な場所に設置することを心がけてください。吸音材を置く本来の目的は定常波を抑制することで、音の響きそのものをなくしてしまうのではないことに留意しましょう。吸音材を置きたい場所には、すでに述べたスピーカーの裏のほか、部屋の角も挙げられます。部屋の角や隅のほうには、厚みがあって高い吸音効果が期待できるものを設置してみてください。効果的な吸音材は値段が高い傾向にありますが、壁や床には必ずしも吸音材を敷き詰めなくても良いため、角の部分にお金をかけて集中的に部屋の音響効果を高めるのがおすすめの方法です。
防振も音の質を向上させる
音は、物体や空気が振動した際に伝わるものです。そのため、余計な振動を回避することでも音響効果を上げることが可能となります。防音マンションの場合、壁が分厚いコンクリートで作られているものが多いため、基本的に建物自体が振動に強い造りといえます。そのため、室内に何か防音装備を追加で取り付ける必要はないことも多いです。しかし、音の振動は家具などにも伝わるため、生活をしている空間ではどうしても必要のない振動が起きてしまうことがあるのです。音響を良くするためには、できるだけ室内に振動しやすいものを置かない工夫も大切になってきます。
日常生活で使用するものを上手に利用
日常生活で使用するものを上手に利用して吸音効果を得ることもできます。たとえば、壁際に衣服を吊るしたりカーテンを閉めたり、壁に布を配置することである程度音を吸収してくれます。また、ダンボールや紙製の卵パック、毛布など、家庭内にあるものにも少なからず吸音効果があるため、いろいろなもので試すのも楽しいです。
快適な音響のために防音マンション選びは重要!
防音マンションは、音を部屋の外へ漏らさないよう造っているため、大きな音量で音楽を楽しめます。さらに、ちょっとした工夫をすることで、より良い音の環境を作ることができるでしょう。内見に行ったときに遮音性能(=どれだけ大きな音が出せるのかの確認)だけでなく、部屋がどのくらい音を吸収し、反響するのかも実際に確かめてみるとよいでしょう。聴きたい音楽のジャンルなどを伝えて相談できると安心です。音域別の防音性能なども教えてもらえるかもしれません。防音マンション選びは妥協せずにしっかりと行い、音楽ライフを今以上に楽しんでください。